ラーメン職人の熱いストーリー ラーメン 東へ西へ

ラーメン東へ西へ No.10 新福菜館

そもそも新福菜館の始まりは、現社長、山内勝さんの義父、徐永俤氏が屋台で売り始めた中華そばにある。これが今に継承される新福菜館濃口醤油ラーメンである。

徐氏は昭和13年、屋台から始め、19年になると京都駅東にラーメン屋として本格的に店を構えた(現在の本店)。国鉄職員やトラックの運転手のため、明け方5時から店を開けていたという。

新福菜館を継いで

山内社長が初めて新福菜館中華そばを食べたのは、昭和38年のこと。「ボリュームがあるし、自分好みの味だな」と感じた。

当時は東証1部上場の大手メーカーに勤めていたが、運命に導かれるように新福菜館で働くことになる。店に立ち始めたのはその4年後。それから新福菜館の味を覚えようと必死で働いた。

先代が他界すると、いかにしてその味を守っていくかに専念し、昭和46年に山内社長は店を継いだ。店は3軒、5軒と徐々に増えていった。現在では店舗数も9軒になり、1店舗で1日1000食以上売る日も少なくないという。

京都の誇りをかけてラー博に挑戦

平成9年8月には新横浜ラーメン博物館に出店したが、“京都=ラーメン”とすぐには直結せず、土地柄のハンディを感じた。

「京都一の繁盛店の誇りにかけて、横浜で通用しなかったなんてことにならないように、絶対失敗できない」

と肝に銘じ、京都と横浜の往復に忙しい日々が続いた。

その思いがあったから、ここでも徐々に売上げは伸び、その後も、“おみやげ味噌(海鮮)ラーメン”など新しい試みが続いている。

店は自然発生するように増やしたい

「菜館というのは、中国では大衆食堂を意味します。飯店というのが、高級料亭やホテルのようなところ。うちが目指してきたのは“菜館”です。毎日のように通ってくださるお客さまがいて、うれしいですね」

山内社長

「店を計画的に増やすより、新福菜館で働く若い連中から自発的に、自然発生するように増えていったらいいなと思っていまあす。うちには、いい連中がたくさんいますよ」

と話してくれた。



新福菜館
本店
住所:京都府下京区高倉通塩小路下ル
TEL:075-371-7648
営業時間:AM7:30~PM11:00
本店のみ水曜日はAM11:00~PM3:00まで営業
定休日:水曜日
京都市内に計8店舗と新横浜ラーメン博物館に店がある。

山内 勝さん

有限会社 新福菜館
代表取締役社長
山内 勝さん

店を引き継いでからは、先代の味を守りお客さまに満足して帰っていただけるようにと努めた。根からの楽天家で、みんなとワイワイ酒を酌み交わすのが楽しいという。