ラーメン職人の熱いストーリー ラーメン 東へ西へ

ラーメン東へ西へ No.2 野方ホープ 小栗 冨美代さん

気っ風がよくて男まさり。「女にしておくのがもったいない」小栗社長はこの言葉通りの人。「行列のできる店にする」の志は、オープンからわずか4年で達成され、以来、野方ホープは店を出すごとに新たな行列のできる繁盛店に。その産みの母、小栗冨美代社長の破天荒な生き様を聴いた。

男に生れたかった

石川県の能登半島で生まれ育ち、10代の頃は家出の常習犯だったという小栗社長。「東京に行けば、いいことがある」その一心で上京し、会社勤めを経て24歳で自分のスナックを経営した。極道者のいやがらせや出産、離婚など働く女に容赦なく試練は続く。

「人間、弱っているときほど、つまんない事やどうしようもない奴に引っかかるものなのよ」

と人生の辛酸を知り尽くした女性長の口からポツリとこぼれた。だが、そんなことで負けてなどいられない。知人にたまたま連れて行ってもらった深夜のラーメン店の繁盛ぶりを見て、自分もラーメン屋をやってみようと思い立った。

やるなら行列のできる店にしよう

最初はラーメンのことなどさっぱりわからない。それまで磨いた飲食業のカンと自分の舌だけを頼りに、あの”こってり、だけど、さっぱり“のとんこつしょうゆラーメンの完成をさせた。

「小栗さんのラーメン、うまいよ」お客様の言葉も励みになったそう。常連客には「いつもどうもね」、県外ナンバーの車から降りてきた若者には「遠くからわざわざありがとね」と頭を下げた。その味と真心の対応に、行列のできる店の評判はますます高まる。

「頑張っていればチャンスは向こうからやってくるのよ」

それが『新横浜ラーメン博物館』への出店だった。

「車の中で仮眠するから、30分たったら起こしてね」

それ程の忙しさの中で、野方ホープは全国区へと名を広める。そこで見た一風堂の温かい雰囲気に触発されたと言う。社風改善とグレードアップを目指し、昨年『ラー博』を卒業。現在は年に2店舗を目標に『野方ホープ』ののれんを増やしている。

「何にでも挑戦してみることが大事。そこで失敗しても、何かを学べばそれでいいのよ」

と語ってくれた。事業家、小栗冨美代の挑戦は今始まったばかり。



野方ホープ
事務所
住所:東京都中野区若宮1-8-8
TEL:03-3336-3754
店舗:本店は中野区野方、ほかに原宿店、萩窪店、高田馬場店
営業時間:AM11:00~AM4:00
定休日:年中無休

野方ホープ

小栗 冨美代さん

有限会社 創龍
代表取締役
小栗 富美代さん

7人兄弟の末っ子に生まれ、中学卒業後は兄の繊維工場を手伝う。その後、コンピューターの部品製造、スナック経営、雀荘、居酒屋、生命保険業などを経て、1988年にラーメン屋を始め現在に至る。