ラーメン職人の熱いストーリー ラーメン 東へ西へ

ラーメン東へ西へ No.4 げんこつ屋 関川 清さん

げんこつ屋の1号店が新高円寺にオープンしたのは、1980年。それから、18年を経て、現在は10店舗のげんこつ屋が東京、新横浜に点在する。

黒を基調にシックで落ち着いた店内。店員の気持ちのいい対応。そして何より、よい素材を惜しみなく使ったラーメンの味。「ラーメンにしてはお金がかかるけど、でも、げんこつ屋よね」。そういう女性客が多いのも、この店の特徴である。

僅か6坪、カウンターのみ13席で始めた『げんこつ屋1号店』。初めのひと月は、納得いくスープができないからと、時々店仕舞いする変な店だった。しかも、舌代450円のラーメンを食べに来た客に500円渡して、「せっかく来ていただいたのに、申し訳ありません。今日は店を閉めますので、またお越しください」と丁重に帰していたのだとか。

おいしいラーメンをつくる

そんな関川氏だから、ラーメンを大衆食ではなくスープ料理と考え、試行錯誤を重ねた。そして、本物志向のラーメンを確立した。

かんすいの使用量を極力抑えた多加水麺若鶏豚足、野菜を煮込んだ白湯スープにマグロ節ベースの和風スープ。

「よい素材を使えば、おいしい商品ができるんです。初めに自信を持っておいしいと思えるものをつくらずして、飲食店の成功はあり得ません。適正な原価、売価になるか価格を考えるのはそれからですよ」

と信念を貫く関川氏。その傍らで、よきパートナーとして共に事業を営んできた妻、政江さんの存在も大きいと語る。

男、一生の仕事

現在、げんこつ屋は10店舗を数える。

「店をつくるのは、任せられるスタッフが育った時。その人を生かせる場をつくるための出店なんです」

将来は、郊外型の大型店を含め、あと10店舗くらいは増やせると考えている。

「自分を含め、従業員の幸せを願い、共に誇れるげんこつ屋でありたい。東京のラーメン店を挙げる時、その中に、必ずげんこつ屋の名前がでるようになるのが夢です。それには、まだまだやらなくてはならないことがたくさんあります。次の世代への土台を築き上げることが、私の仕事だと思っています」

とどこまでも前進を続ける関川氏である。



げんこつ屋
本社
住所:東京都杉並区阿佐ヶ谷南3-2-31-102
TEL:03-3393-7981
店舗:新高円寺店・(阿佐ヶ谷)北口店・中杉通り店・渋谷店 ・新横浜店・永福町店・西神田店・西武新宿店・西新宿店 ・新宿本店
営業時間:月~土 11:00~23:00、日・祝 11:00~22:30

関川 清さん

株式会社 げんこつ屋
代表取締役
関川 清さん

子供の頃から、何らかの商いをしたいと考えていた関川氏は、弱冠23歳で独力で弁当ショップを始めた。妻の協力もあり店は栄えたが、新しい可能性をラーメンに感じ、潔く転業した。げんこつ屋は、妥協を許さず常に挑戦し続ける精神を表す名前として、自身がネーミングした。