ラーメン職人の熱いストーリー ラーメン 東へ西へ

ラーメン東へ西へ No.7 昇和亭 香月 均さん

「な~んか、この店かわいい」と若い女性が喜びそうなラーメン屋さん『昇和亭』。とんこつラーメン発祥の地、福岡県久留米市で長年親しまれている『大砲ラーメン』の新しい切り口の店として、昨年12月にオープンして以来、「また行きたくなる店」と話題を集めている繁盛店である。

「本当は俺、プロのミュージシャンになりたかったとたい」

と昔を懐かしむ香月社長。大学でグラフィックデザインを学ぶ傍ら、オリジナルバンド『卑弥呼』のリーダーとして音楽活動にも熱中していた。「上京してプロになろう」とまで考えていたという。

それまで、「好きなことば思い切りしてよか」と、店を継ぐことなど1度も口にしなかった両親。ところが、卒業間際に父、母と相次いで病に倒れてしまう。

物心つく前から母の背で、大砲ラーメン屋台を感じて育った香月社長だけに「親父とおふくろが守ってきたのれんを絶やしたらいかん」と店に立つことを決意した。ギターを抱く手は、翌日からラーメンをつくる手に変わった。

先代ラーメンを引き継いで

「たとえ一族がとだえても、その店の味は残さんといかん。それが、店の味に惚れて通ってくれるお客さんに果たすべき使命」

と力説する。それが、40年来続くラーメンの味の由縁なのだそう。しかし、ラーメン周りの環境は充分今風にアレンジされている。それには、両親の快復した数年後“外のメシを食う”ために上京し、青山でグラフィックデザイナーとして5年間勤めたことが大きく影響している。

帰郷した平成3年には、そこで培ったデザイン感覚と、ミュージシャンの感性を武器に合川バイパス店をプロデュースした。そこには“知る人ぞ知る大砲ラーメン”を“久留米で5本指に入るラーメン屋”として名を轟かせるだけの斬新なパワーがあった。

人もお店もラーメンも少しずつしかつくれません

『昇和亭』のキーワードは「原点に戻ること」。昭和の活気ある時代を取り戻そうという想いから、創業当初の屋台イメージを連想させるような工夫が随所に施されている。

この店だけのオリジナル、『昔ラーメン』には父、香月昇をこよなく敬愛する息子の“クリエイティブ魂”がたっぷりこめられている。



昇和亭
住所:福岡県久留米市通外町11-8
TEL:0942-33-6695
営業時間:11:00~21:00
定休日:第2、第4木曜日

昇和亭

香月 均さん

株式会社 大砲
代表取締役
香月 均さん

プロ意識を持った誇り高きスタッフを育てて、3年に1店舗の割合で出店し、現在9店舗を経営している。不況イメージの強い久留米の活性化のためにも、ラーメン業界の仲間づくりを、と張り切る。

本人、極めて恥ずかしがりやのため、今回こんな写真になりました。普通はやんちゃ坊主のような顔です。