ラーメン職人の熱いストーリー ラーメン 東へ西へ

ラーメン東へ西へ No.9 支那そば 勝丸 後藤 勝彦さん

新横浜ラーメン博物館の夕焼けの下町で一際目立つ派手で元気なおっちゃん。そのパフォーマンスの裏には「せっかく全国からやって来たお客さんに、間違いなく自分の好みのラーメンを食べて、満足して帰ってほしい」という親心が。とんこつ味噌ラーメン希望のお客さんには、自分の店以外の案内もしているという

「昔はみんな貧しかったから、腹をすかしてたんだよね。だからお菓子屋になろうと思って、1年くらいケーキなんかをつくっていた」

と後藤社長。車の免許が欲しくて運送屋の助手をしたり、3つ4つ転々と職場を変えラーメン屋を始めるきっかけともなったタクシーの運転手を始めた。

20年以上も昔のことである。都内をタクシーであちこち移動し、うまそうなラーメン屋を見つけると立ち寄った。そうやって食べ歩きを重ねるうちに、いつしか「自分でもラーメンをつくってみたい」と思うようになる。好きなラーメンの好みもしっかりしていたし、味には自信があった。

勝丸』創業は昭和47年、屋台から。あちこち移動しながら車庫を借りて営業していた。店舗を構えたのは昭和59年のことである。

昔ながらのしょうゆラーメン

「お客さんはラーメンを食べに来るんだから、スープもだがに手抜きはできない」

勝丸は創業以来、手のかかるちぢれ麺を起用している。そのちぢれたところにスープがうまく絡みつき、食べるときスープの旨みをより感じるという。

味は子供の頃から慣れ親しんだしょうゆ味。自然の特製醤油をベースに正統派の東京ラーメンにこだわり続けている。

俺はラーメン屋のおやじ

「同じようにラーメンを食べさせる店でも『ラーメン店』と『ラーメン屋』がある」

と後藤社長。ラーメン店というのは後藤社長に言わせると、小ぎれいで何軒も店舗展開を繰り広げる繁盛店。ラーメン屋は武骨者が旨いラーメンを自らつくってお客さんに食べてもらおうとする店。

「自分はラーメン屋のおやじにしかなれないから、頑張って目の届く片手(5軒)に収まるだけしか店はださない」

と決めている。長男が店の1軒を継いでくれたのもうれしかった。

数字よりもお客さんから「うまい」と心底喜んでもらえるラーメンをつくり続け、自分のラーメンがこの業界でどこまで通用するか、やれる限り“ラーメン屋のおやじ”を続けようと燃えている。



支那そば 勝丸
本店
住所:東京都目黒区目黒2-8-10 アーパン目黒ビル1F
TEL:03-5434-5320
営業時間:(月~土)11:00~翌4:00、(日)11:00~翌3:00
定休日:無休
※ほかに、六本木、蒲田、新横浜ラーメン博物館店

後藤 勝彦さん

有限会社 勝丸
代表取締役社長
後藤 勝彦さん

店名、勝丸は『勝』が好きで、『丸』は牛若丸の丸から命名した。 青森県北津軽郡出身。