ラーメン職人の熱いストーリー ラーメン 東へ西へ

ラーメン東へ西へ No.19 ごもんちゃんラーメン

とんこつラーメンが主流の鹿児島で古くから、みそラーメンしょうゆラーメン塩ラーメンを出している店がある。中でも人気は赤みそ仕立てのラーメン(ほかに白みそ味もある)。博多ラーメンの1.5倍はあろうかというボリュームが鹿児島のラーメンの特徴で、食事感覚でラーメン屋さんに行く人が多い。壁に貼られた『無愛想ですが、味だけは気をつけております』の文字が誠実さを物語る『ごもんちゃん』のご主人・山下さんに話を聞いた。

河原山下さんは僕と同じ辰年生まれ、でも、早生まれで1学年先輩なんですよね。ラーメン屋歴も24年と僕より随分先輩ですよ。ところで、前から思ってたんだけど『ごもんちゃん』って、どういう意味ですか?」

山下「魚の名前なんです。ハゼ科の小さい魚で、串木野の方言みたいなもんかな。地元の人に受け入れてもらえるようにと……。郷土史にもちゃんと出てくるんですよ」

河原ごもんちゃんみそラーメンは有名だけど、あのあっさり味のスープ、どうやってとってるの?」

山下豚頭でとっています。配合比は7対3と圧倒的にが多いですね。あとは注文に応じて赤味噌や白味噌醤油、塩ベースの元だしを使っています」

河原「野菜がいっぱいですよね。それにチャーシューが入っていないのも意外なんですが……」

山下チャンポンみたいなラーメン、とか言われることがあります。自分ではこんなラーメンもありだと思うんです。一時期、焼豚を入れてたこともあるけど、やっぱり違うかなと思って外しました。野菜はキャベツ人参玉葱もやしを使います。ラーメンの括りに捕われず、自分が一番おいしいと感じるラーメンを出し続けています」

逆境でも味だけは変えなかった

河原「店を長くやってきて、大変な時期とかありませんでした?」

山下「ありましたね。店を始めて2~3年たった頃でしょうか、ヒマな時期が続きました。1日にお客さんが50人~60人くらいで、ヒマを持て余してた……」

河原「どうやって切り抜けたんですか?」

山下「味の研究を重ね試行錯誤を繰り返し、いろんな味を確かめてみましたね。でも、やっぱり自分のとこで出してきた味がいいと思ったんです。だから、ヘンに味をいじったりせず、1杯1杯を精魂込めてつくりました。おいしいラーメンを食べてもらおう、それしかなかったですね。そうやってお客さんを大切にコツコツと続けていったら、ラーメンブームが始まってにわかにお客さんが増えてきました」

河原「国道(3号線)沿いだし、トラックの運転手さんなんかも多いでしょう?」

山下「そうですね。でも、僕のところのラーメンはご家族連れや年輩の方がたくさん食べに来てくださるんですよ」

河原「今度、店をもう1軒増やすそうですね?」

山下「そうなんです。今年はラーメン屋を初めて25年目、地元でも評価してもらえるようになった実感があります。せっかく年男だし、世紀代わりの節目でもあるし、男としてここいらで何かやってみようと思ったんです」

河原「鹿児島のどの辺に出すんですか?」

山下「泉町あたりです。できれば先々、県内に合わせて5軒くらいは店を出していきたいと思っています。応援していてください」

河原「おー、それは凄い! できることがあれば協力しますよ。頑張ってください」



ごもんちゃんラーメン

住所:鹿児島県串木野市下名4009-1
TEL:0996-32-0794

新店舗
住所:鹿児島市和泉町5-7
営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00  日祝は11:00~22:00
定休日:火曜日

山下 勉さん

山下 勉さん

有限会社ディンキー
代表取締役
山下 勉さん

昭和27年3月20日、鹿児島県に生れる。3人姉弟の末っ子でおばあちゃん子だった。寿司屋、中華料理店で修行後、トラック運転手などいくつかの職を経験し、昭和51年より知人のラーメン店を手伝うことに。以来、鹿児島の人々に愛されるラーメンをつくり続けている