ラーメン職人の熱いストーリー ラーメン 東へ西へ

ラーメン東へ西へ No.49 めん徳 二代目 つじ田

若干26歳のラーメン職人が、東京・麹町と神田に2軒のラーメン店を営んでいる。『めん徳 二代目 つじ田』、すだち黒七味で味わうつけ麺が評判の店だ。子どもの頃からラーメン好きで、中学生の頃には既に「いつかは自分の店を持ちたい」と考えていたという。妥協を許さない研究熱心な店主に、ラーメンにかける意気込みを訊いた。


つじ田 つけ麺流儀」

一. まずは、すだち黒七味もかけずそのまま食すべし。
一. 3分の1食べ終わったところですだちを搾り、よく混ぜてから食すべし。
一. そして、残り3分の1になったら、黒七味をふり掛けて食すべし。

店内に貼られた説明書き。味の変化を楽しみにしながら食べ進めてほしいと考えた。まるで、名古屋名物「ひつまぶし」のようだ。辻田雄大さんがラーメン店を開店して2年半。看板商品『二代目らーめん』『二代目つけ麺』に加え、限定ラーメンを出すなど、人気にあぐらをかくことなく邁進する。

辻田さんが「ラーメン屋になろう」と決意したのは、最初に出した居酒屋では満足感が得られなかったから。板前さん任せではなく、お客さまに自分のつくる料理を提供したいと思った。

そして、すぐに「自分がつくるならラーメンだ」と決意。好んで食べていた何軒ものラーメンが彼の青春の味だった。青年期を過ごした十数年前の東京は、何度目かのラーメンブームに沸き、テレビ番組や雑誌の類いでも、よくラーメンが採り上げられていたのだ。

店を出すと決めた彼は、高円寺にあった『めん徳』というラーメン屋の味を指導したフレンチのシェフに教えを請う。それから半年~1年は独学で味を構築していった。

斑鳩』『青葉』『田中商店』、好きなラーメン店の味も参考にし、豚骨サバ節カツオ節を合わせたトロリと濃厚スープが完成。「妥協しないでつくりなさい」という師匠の言葉を、今でもラーメンづくりの源流としている。師匠から店名を継ぐことを奨められ、自分自身に恥じない店にしたいと考え、『めん徳 二代目 つじ田』とした。

オープン日に開店できなかった悔しさをバネに

1軒目はオープンと同時に繁盛店に成長。そして、御茶ノ水に2軒目を出店。それだけ聞けばラーメン屋のエリートのようだが、実は大事なオープン当日に、どうしても納得のいくスープがとれず、彼は店を開けなかった。それも2軒とも。

お客さまに対して申し訳ない自責の念と、満足いかないものを出せないという気持ちと、迷っての決断。プロとしてはあってはいけない失態だった。だからこそ、安定した味のおいしいラーメンが出せるように彼は努力を惜しまない。

時間がいくらあっても足りないと感じる昨今。

「ありがたいことに、ラーメン屋の諸先輩がいろいろとアドバイスをくださいます。若輩者ながら、とにかく一所懸命がんばる。今はそれが精一杯ですが、お客さまがうまそうに食べてくださる顔を見ていると、もっとがんばろうという気持ちが沸いてくるんです」

と声は弾んでいた。



めん徳 二代目 つじ田
神田御茶ノ水店
住所:東京千代田区小川町1‐4
TEL:03-5256-3200
定休日:日曜日
営業時間:11:00~15:30、17:00~21:30
売切次第終了

辻田 雄大さん

めん徳 二代目 つじ田
店主
辻田 雄大さん
TSUJITA TAKEHIRO

1978年、東京・文京区に生まれる。高校卒業後、居酒屋に就職し、22歳で自分の店を出すがそこにやりがいを感じることができず、居酒屋を売り23歳頃からラーメン修業を始める。24歳でラーメン店「めん徳 二代目 つじ田」をオープン。今年7月に、2軒目を開店した